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04.29.20

ジャン・ルソーの優れた革職人、マヘーシュ・チャウハンに3つの質問

マヘーシュ・チャウハンは、ロンドンのジャン・ルソーに在籍している2人の優れた革職人のうちの1人です。オーダーメイドの時計ベルトの製作が専門でありながら、クレジット カード ホルダーや櫛ケース、財布などの革小物も製作しています。今回は、革職人の仕事の緻密さについて語ってもらいました。

 

1. オーダーメイドにはどんなスキルが必要ですか?

オーダーメイドに携わる人には、根気と、ディテールを見極める肥えた目、そして情熱が必要です。私がジャン・ルソーに加わった際は、フランスのジャン・ルソー・マニュファクチュール(Manufacture Jean Rousseau)で6週間の研修期間がありました。白衣を着用しての作業、時計ベルトの部品ごとに揃えられた専用ツール、組織構成、プロとしての仕事ぶりなどからして、そこはまるで科学研究所のような場所です。エキゾチック レザーにあらゆる美しい色をのせる製革工場ももちろんあります。

私を指導してくれたのはナタリーでした。彼女はトップクラスに入る(仮にトップでなければ、の話ですが)オーダーメイドの時計ベルト職人です。私はこんなに恵まれていなかったでしょうし、ベルト作りにここまで無我夢中になることもなかったでしょう。ディテールにあれほどの注意を傾け、あれほどの高い基準で仕事に取り組む人の真似をすることは、私にとって本当にいい目標となりました。

小物づくりを支える専門性の高さといったらもう信じられません。時計ベルトの全体的な厚みを増やす接着剤にまで責任を持つのです。ディテールが複雑な時計ベルトを作るには、先々の工程まで考えたり、長さや幅を補ったりすることが必要なため、自分の数学的能力のなさを突き付けられましたし、ベルト作りに必要な緻密さと、2~3回測って1度切ってみることの大切さを痛感しました。

 

2. お客様の期待に確実に応えるためにしていることは?

お客様の中には、コレクターの方も、製造当時の審美性をそのまま残したいという思い出の詰まった時計をお持ちの方も大勢いらっしゃいます。これまで拝見した時計の中には、なんと第一次世界大戦の頃に製造されたというものもありました。オーダーメイドでは、ぴったりフィットするベルトを作ることを求められますが、お客様の手首のサイズに合わせなければならないため、難しい場合もあります。ロンドンのブティックでは、お客様のご要望をお聞きしてお互いにアイデアを出し合ったのちに、その理想の形をしっかり把握するために製図を行い、試作品を作って実際に形にするところまで行います。こうすることで、必要に応じて調整を行ったりデザインに少し変更を加えたりすることができ、非の打ちどころのない、お客様のご期待をはるかに上回るような仕上がりになるという安心感が双方に生まれるのです。

 

3. これまで受けた要望の中で一番斬新だったものは何ですか?

お客様の中には、びっくりするようなアイデアや色の組み合わせを希望される方や、2種類のエキゾチック レザーを組み合わせたいという方もいらっしゃいます。以前には、バックル側のベルトをエメラルド グリーン、長い方のベルトをターコイズ ブルー、裏地を白という3色の配色にして、素材はすべてアリゲーターにしたいというお客様がいらっしゃいました。しかも遊革と定革の色には、それぞれのベルトに合わせて、一方にブルー、もう一方にグリーンをリクエストされたのです。お客様がご自身の発想と創造力をベルトにつぎ込んでいる様子が私はたまらなく大好きです。